VOL6

「ミスタードーナツ(ミスド)」編

人にはそれぞれ“癒しの場”という場所がある。
ご存知の方も多いと思うが、ここ最近僕は「ミスタードーナツ(ミスド)」に通っている。
どれぐらい行っているかというと、少なくとも週に2・3回は行っているだろう。
そう、ミスドは僕の癒しの場なのである。
しかし、なぜミスドなのか?と疑問を抱かれる方もいると思うが、理由はやっぱり「天使」である。
実際びっくりするぐらいミスドの売り子には天使が多いのだ。(ここでいう天使とはとりあえず顔が天使ということであ)
名前が「ミスタードーナツ」だからといって決して男のドーナツではない!!
僕に言わせれば天使がくれるドーナツの輪、これぞまさに“天使の輪”である。

しかし最初は店でドーナツを食べながら天使の働く姿を見る事で癒されていた僕なのだが、
最近では「う〜ん、もっと個人的に本気で癒されたい!!」と、ちょっと歪んだ癒しを求めるようになってきた。(癒しに本気もウソ気もないと思うのだが…)

西院のミスドは客の出入りが多い店である、しょっちゅう通っているからといって、そう簡単に顔を覚えてもらうことができないので、
そこで僕は地道な作戦として「今年もやっぱりハムの人」作戦を遂行している。どういった作戦かというと、
毎回ミスドに行った時に注文するものを同じにしているのだ、ちなみに僕は毎回“オールドファッション”と“チョコリング”を注文している。

そのうち僕を覚えてくれた天使が、店に入って注文もせず席に着く僕の前に“オールドファッション&チョコリング”を出してくれるという、
いわゆる「Kouさんはいつものでいいですよね。」状態がこの作戦の最終目標である。(なるわけねーか)

それ以外の作戦としては飲み物はいつも“アメリカンコーヒー”を注文しているのだ。
なぜアメリカンを注文するかというと、アメリカンはお代わり自由なのである。
別にコーヒーが飲みたくてアメリカンを注文するのではなく、お代わり自由というのが大きなポイントである。
お代わりというのはファミレスのドリンクバーみたいにセルフサービスではなく、店員さんに直接頼まなければならない。
つまり天使とコミュニケーションがとれる唯一のチャンスなのだ。
しかしここで注意しなければならないのが、お代わりは一杯だけにとどめておくことである。
なぜなら、「いつものウザイ客  チョ〜最悪よね! お代わり自由だからって調子に乗って2杯も3杯も飲みやがって! あ〜ウザイウザイ」
などと影でささやかることになりかねないからである。

しかし唯一天使とコミュニケーションが取れるこの「コーヒーお代わりタイム」でも僕はあいかわらずで、
「あの… コーヒーのお代わりもらえますか…」と、せいぜいがんばったところで「フレッシュはいいです。」ぐらいの事しか言えないのである。
なんとも気弱な28歳である。
ほんの一言でもいいから気のきいた事が言えれば少しはなんらかの発展があると思うのだが…

ここでちょっと紹介させてもらうと、ミスドの天使の中で僕の一番のお気に入りは本名 井上さんである。
通称“テンチョー”と呼んでいる。ちなみにいっしゃんのお気に入りは本名 西川さん通称“キヨシ”である。
ここ最近は見ないが、本名 山崎さん通称“ケイコ”と呼ばれていた天使もお気に入りの一人であった。

しかしなぜ僕達が天使達にあだ名を付けるかと言うと、ミスドの店内がとても狭い為である。
その為、店内での僕達の会話は全てあだ名を使うようにしているのだ。
「やっぱテンチョー最高やわ!!」とか「今日はキヨシ来ーひんのかな?」などと大っぴらに天使トークをしていても店員にさとられないようにするためである。

最近の僕の日課は会社帰りにミスドの店内を覗き込み、その日の天使チェックすることである。
ちょっとした“プチストーカー行為”と言われるかもしれないが…
そして、いっしゃんにメールを送る
「いっしゃん!! 今日は最悪や! 一人も天使がおらへん! “アヒル”と“エビアン”だけやで! 
せめて“きつい子さん”か“キヨシ”のどちらかがいたらよかったのに… 今日はやめとこか?」

「いや、でも9時の交替で“テンチョー”が来そうな気がするで。」

「せやな〜 よっしゃ! 9時の交替に全てを賭けよう!」などと馬鹿な交信をしている30歳手前のダメ男2人である。

実際、神様とはいらっしゃるもので、こんな30歳を手前にしたダメ男達にささやかなプレゼントを与えてくれる事がある。
どういったことかと言うと、“テンチョー”&“キヨシ”&“きつい子さん”という
ミスドの天使三銃士が揃うことがあるのだ。
そう、これが俗に言う「天使の集う日」である。
こんなラッキーな日は僕といっしゃんの顔からは終始笑みが溢れまくりであり、
出されたコーヒーも鼻から飲んでしまいそうなぐらい天使から目を離せないでいる。

このように週に何回かくり返されるミスドの天使争奪戦だが、いっこうに発展しない
為、癒されに行っているのに何故かストレスが溜まり始めている今日のこのごろである。


えっ?! そんなにドーナツばっかり食べてて太らないのかって? 
いやいやそんなに世の中は甘くない。 高校時代から10年近くの間ずっと同じ体重を維持してきた僕だが、この一年で4kgも太ってしまった… 
このままミスドに通うということは、ある意味冒険でもあるのだ。
「ローマは一日にしてならず」ということわざがあるが、僕の場合は「ロースに一年にしてなりそう」である。ゲロゲロ…


                                                                                                                                           Vol7